部屋が和室なので食事は当然和食がメインだろうと思っていたが、良い意味で裏切られた。並んだ料理はフレンチ系の創作料理。大洗らしく魚も出るがお造りではなくカルパッチョだった。ソースを手作りする本格的なもので、この日のメニューは『ツブ貝、ホタテ、有頭エビのオードブル』『豚肉と牛肉のスモーク焼き赤ワインソース』『メカジキの焼き物甘酢あんかけ』など華やかなものばかり。これらの凝った料理を割り箸で食べる気取らない感じが良い。

とにかく釣り人にやさしい宿だ。目の前に涸沼川（ひぬまがわ）が流れており、徒歩で行けるところがハゼやセイゴの絶好のポイントとなっている。ちょうど櫻道児童公園が向かい側にあるので、眺めも素晴らしい。宿で朝食は出るが、釣りで早朝に出発したいという人にはおにぎりを握ってくれるなど融通の効いたサービスをしてくれる。ちなみに釣ってきた魚を調理して夕食に出してほしい、といったリクエストにもこころよく応えてくれる。

部屋は全て和室。大きめの窓からは自然光が入り明るい。道を挟んですぐ向こう側には釣り場としてヨダレが出そうな涸沼川が流れている。釣り好きの人なら景色を見るだけでワクワクしてしまう、そんな気持ちを分かってもらえると思う。冬にはコタツが備えられ、まるで実家に帰って来たような、まったりと落ち着ける雰囲気だ。家族的な温かさのある宿だから、それに甘えられれば快適そのもの。リピーターが多いこともうなずける。

宿の魅力はなんといっても鬼澤正治さん・洋子さんオーナー夫妻が醸し出す温かくてアットホームな雰囲気だろう。と言っても勿論そればかりではなく、特に食事には力を入れている。二人で普段から食べ歩きに出掛けるなど切磋琢磨している成果がおいしい食事になって実っている。また、奥さんの洋子さんが作るブリザーブドフラワーはプロ級の仕上がり。それがロビーや廊下などの共用スペースに置かれていて、何とも良い気分にさせてくれるのだ。