格子の付いた丸窓、優しく照らしてくれる照明・・素泊まり5,000円台で泊まれる宿とは思えない格調高い雰囲気だ。部屋に行き着くまでのわずかな時間ではあるが宿泊への期待感を高めてくれる。明治創業の歴史ある宿が、リニューアルによって、純和風なだけではない、洗練されたテイストを取り入れた和モダンな宿に生まれ変わった。館内を歩くと「蔵」として使われていた頃の白壁を残して廊下の壁にするなど、老舗旅館の風格を感じることが出来る。

湯がいたアンコウの身を、肝を溶いた酢味噌のタレでいただく茨城名物アンコウの供酢。この料理は人気の宿泊プラン『四季のグルメ・コース』の中で食べられる。メインは味噌仕立てのアンコウ鍋だ。宿泊プランには、大洗の地酒もセットで付くので酒飲みにはうれしい。アンコウ料理は冬限定のメニューで、春は『鯛の梅つみれ鍋』、夏は『ほっき貝と地魚のしゃぶしゃぶ』、秋は『しらすの白波鍋』と、季節ごとの大洗のおすすめ鍋が食べられる。

宿の主人と話がはずむことは、旅人にとって大きな喜びのひとつだ。福本楼の4代目主人・福本隆治さんは大のゴルフ好き。そのためか、こちらの宿ではゴルフ客の利用も多い。福本さんのゴルフ歴は45年以上。20歳の時にキャディーのアルバイトをしたことに始まる。67歳（2016年1月現在）になった今でも、気の合う仲間と共にプレイを楽しむ。ゴルフの話になる時、福本さんの顔は自然とほころぶ。フロントにはたくさんのトロフィーや盾が飾られていた。

こちらがゴルフ好きの4代目主人・福本隆治さん。福本楼は明治時代から続く歴史ある宿。それを継ぐ重みは相当なものだと思うが、持ち前の明るさで元気に切り盛りしている。料理人としての顔を持ち、自ら厨房に立ち腕をふるう。その丁寧な仕事ぶりは料理を見れば自然と伝わってくる。一つ一つに手抜きが無い。宿の利用は観光客のほか、宴会など地元の人たちによる利用が多い。リピーター率が高いという話も、すんなりとうなずけるものがある。