海沿いの宿だけに、「全室オーシャンビュー」は言うまでもない。が、1階の客室に泊まったなら、期待以上の感動が得られるに違いない。開放感たっぷりの大きな窓、青々とした庭の芝生、そして寄せては返す波の音…。それら全てを独り占めしたこの空間は、まるで自分の別荘に来たかような気分が味わえる贅沢な部屋だ。家族連れなら、子どもが庭で遊ぶ姿を部屋の中から眺めているだけで、幸せを感じてしまいそうだ。

最大40名収容可能な宴会場は、シンプルながらもモダンで上品な内装。テーブル席なので正座が苦手な向きにも使い勝手が良いと評判だ。こちらで頂く夕食は、当宿自慢の地魚をメインとした魚介料理。先付けから小鉢、お造り、焼きもの、揚げ物、煮物…これでもかというくらいふんだんに海の幸が盛り込まれ、魚好きにはたまらない構成となっている。季節ごとに旬の地魚を食べ比べしてみたい。

小林楼を訪れると、ロビーにはたいてい誰かがいる。チェックインを済ませた客も、チェックアウト前の客も、囲炉裏を見るとついつい寄ってきてしまうようだ。人によって懐かしくも新しくも感じられるが、なぜか不思議と人が集まってくるのが囲炉裏の魅力。自然と会話も生まれ、様々な情報交換の場所にもなっている。囲炉裏の前で飲むお茶は、なんとなく格別な気がする。

江戸時代に創業したという小林楼。現在は6代目というから、その歴史と重みは並々ならぬものではない。けれども「老舗＝堅苦しい」のでは？というのは完全なる杞憂で、女将の吉川方子（まさこ）さんの笑顔ときたら、周りまで一瞬で明るくしてしまうほど。寡黙で職人気質のご主人と息子さんを温かく支えているのが分かる。それにしても、どうして大洗の女性は揃いも揃ってこんなに魅力的なんだろう。