目の前の太平洋が一望できる、その名も大展望風呂。まぶしいほどに差し込む朝日と、煌々と輝く月を眺めながらの入浴。ただ眺めているだけなのに、自然の偉大さを改めて感じてしまう。そんな非日常を味わえるのも宿泊者だけの特権。この宿に来たなら、二度三度とお風呂を楽しもう。大洗磯前神社の湧水100％を使用したお湯に浸かれば、何かしらご利益もあるかも。

ピアノの調べと共に波音も聞こえてきそうな１階テラスレストラン「ウィスタリア」。ここはランチタイムなら宿泊客以外でも利用できることで人気。この開放感に満ちた空間で味わえるのは、料理長による「気まぐれ御膳」などの日本料理や、シェフの「おすすめランチ」などの洋食の数々。丁寧に仕事された料理は、ひと口ごとに豊かな気分にさせてくれる。

チェックインを済ませふと左手を見ると、トロフィーやバットなど野球に関する展示品の数々。「石井藤吉郎」という名を見てピンと来る人も少なくないはず。早稲田大学野球部の監督・総監督を計11年間勤め、リーグ優勝6回、大学日本一１回という実績を残した、いわゆる「低迷する早稲田を二度までも救った男」である。そんなアマチュア野球界の神様的存在だった石井氏の生家がここ「シーサイドホテル」なのだ。亡くなって20年近く経つ今でも、その人柄を慕い遠方から訪れる人が後を絶たない。これだから大洗は面白い。

キビキビと動く姿がまぶしい女将の和子さんと、それをサポートする息子の藤太郎さん。ホテル並みの快適さながら、家族経営ならではの温かくて親しみやすい雰囲気もあるのが嬉しい。「満月の夜。部屋の明かりを消して海にうつる月を眺めたら、もう最高ですよ」という和子さんの話を聞くだけでも、またすぐに泊まりたくなってしまう。