高台に位置し、太平洋に注ぐ那珂川を一望できるこの宿ではレストランからの眺望も抜群。まず目に飛び込んで来るのが、ひたちなか市と大洗町を結ぶシンボル的存在の海門橋。その鮮やかな赤い橋のたもとでは釣り人たちが釣果を競っている。料理を待つ間だけでも、様々な表情を見せる風景が目を楽しませてくれる。

昭和44年創業という歴史がありながらも、古びた様子は感じられない。聞けば2014年8月にリニューアルしたとのことで、52の客室は和室から和モダンな洋室、展望風呂や露天風呂が付いた特別室、バリアフリー対応室までと豊富。これなら家族旅行はもちろん、結婚記念日や還暦祝いなどの特別な日にも良さそうだ。意外と知られていないが、1月頃には年に数回のみ、客室前の廊下から夕焼けで赤く染まった富士山も見られるとか。そんな日にこの宿に泊まれたら、きっと一生モノの思い出になりそうだ。

太平洋と那珂川を一望できる大浴場。その眺望もさることながら、充実の設備に感動する。大洗温泉を使用した露天風呂、準天然光明石温泉（人工温泉）の大浴場と家族風呂。どちらも湯上りは肌がつるりとし、芯から温まった体は日々の疲れもすっかり消えたようだ。また、浴室用車椅子やスロープ、ベビーバスなども貸出無料。家族風呂に至っては、脱衣所から浴槽までをつなぐリフトもあるので、体の不自由な方でも入浴を楽しめる。至れり尽くせりとは、まさにこの事。

支配人の加瀬恵子さん。全国に50軒超ある「かんぽの宿」でも、まだ女性の支配人は10名に満たない。そのにこやかな笑顔に隠された宿泊客への細やかな気配りとサービス向上への努力が窺い知れる。ロビーにキッズスペースを設けたり、館内各所に絵本を置いたりと、女性目線での配慮が嬉しいかぎり。